回収不能の債権について、何年間も貸借対照表に残ってるなんてことありませんか?
その不良債権、貸倒れ処理するべきではありませんか?
税務上、債権等の貸倒れ処理が認められる要件として、「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」の3つがあります。
「法律上の貸倒れ」は民事再生法や債権者集会などの私的整理による債権カットなどです。
「事実上の貸倒れ」は回収先の債務超過や行方不明などで回収できないことが明らかな場合などです。
「形式上の貸倒れ」は取引停止後、1年以上弁済されていない場合などがこれに当たります。
この「形式上の貸し倒れ」についてはしっかりと把握し、慎重な処理を行わなければ税務調査で否認される可能性があります。
貸倒損失として計上できる条件は以下のとおりです。
① 継続的な取引があること
② 売掛債権やこれに準ずる債権であること(貸付金は対象外です)
③ 相手の資産状況や支払い状況が悪化していること
④ 取引停止後1年以上経過していること
⑤ 備忘価格1円を残して貸倒損失として損金経理していること
これを踏まえて、次のような場合は貸倒損失の計上が認められるでしょうか考えてみましょう
・. 建設請負業を営む法人が、請負工事の中間代金の支払が悪化したため取引を停止後、1年以上経過した場合
・営業用の車両を売却し、売却代金の一部が支払われず、最後の弁済日から1年以上経過した場合
答えは両者ともNOです。
建設請負業は、通常単発的な取引を行うため継続的な取引には該当しません。
そして営業用の車両のような固定資産の売却に係る未収金は、売掛債権には含まれません。
これらの点に注意をし、長期間回収できていない売掛金等で要件を満たしているものがあれば、貸倒損失として費用化を検討してみてはいかがでしょうか
その際備忘価額1円を残すことを忘れずに!
形式的な貸し倒れは実際に債権が消滅したわけではないので備忘価額を残す必要があります。(100万円の売掛金であれば、貸倒損失の計上額は999,999円)
全額を貸倒損失として計上してしまうと、全額否認です。
貸倒損失に計上することで法人税や消費税の節税にもなります
また、不良債権が貸借対照表に何年も残っていると銀行の印象もよくありませんよ~